夢幻城ばぁる: 『天使の羽根を踏まないでっ』 感想

2011年7月30日土曜日

『天使の羽根を踏まないでっ』 感想

自分が忘れないようにメモも兼ねて未完成ながらも物語の流れと少量の感想を投稿。
ネタばれが多分に含まれるのでその辺を理解した上で読んでくださいまし。


全体構成
序盤で『太陽』『月』のどちらに進むか選択します。
月側:羽音・憩・空・グランド
太陽側:ひかる(+照)

推奨攻略順
ひかる→羽音→憩→空→グランド
月を先にやると太陽が緩すぎるので一番最初に終えるのをお勧めします。


シナリオ


太陽の学園
ひかる(+照)
太陽側の話、選択肢次第で最後に照も絡むが基本的に一本道。天使の手使いで奇跡の片鱗を見せたあやめを中心にゴタゴタしていきます。塾生だった桐野天(きりのそら)が自殺、照の離反、生徒会長……ひいてはμになるための策謀の数々。月の凝縮っぷりからすると拉致程度が可愛く見えて普通の萌えゲー感覚でやれたかなって感じ。ただ、ひかる嬢は可愛いと思います。


月の学園
羽音
体験版からの延長線上にあって、終えた範囲では一番燃える話となっています。
体験版終了時に羽音がいじめられていましたが、それを知った主人公が現状を打開する策として、シュラーゲンとゲシュヴィントの同盟を取り持ち確約する流れに。
同盟を組まれたことに微塵も動じなかったミリアーデが、時が満ちたと全勢力(って言うか、実質トロ先輩一人の力)で襲いかかってくるも才能に開花・覚醒した羽音が獅子奮迅活躍で次々と撃退。しかし、トロ先輩の策略に落ち志半ばにおいて無力化されてしまう、その無力化に使われたものが『天秤』の魔術であった。
また『天秤』の魔術により、憩(シュラーゲン)の魔術も封印されてしまうが言葉にするのも憚られる覚悟を以てそれを打破する。
長い年月を擁し溜めに溜め続けた魔力を開放した憩に一撃でトロ先輩を止めることが出来たが、術者(トロ先輩)が仕掛けた魔術であり魔力が暴走。
獣の体をなした魔力を3勢力+主人公の共闘でぶっ飛ばして抗争に幕が下りることに。羽音さんがμとなり、大団円エンド。

流れとしてはこんな感じで、結構省いてます。それもかなり重要なことを。『天秤』については憩さんのところで書きます。羽音が覚醒するシーン、憩先輩の覚悟の辺りは身が震えました。アツイ、とにかくアツイ。よくあるパターンですが、常識に捉われない思考で能力を開花させたり代償を支払って力を得るというのは燃えますね。 脳内で展開されているイメージを書き起こすとこんな感じ。



このルートではシュラーゲンが憩一人になった理由について掘り下げられます。
先に書いた『天秤』の魔術が深くかかわっている物語。天秤はその名の通りの効果を持つもので対象者を基準として心の在り方が天秤の振れ方に直結する魔術。
それぞれの対象、秤をあやめ、憩と羽音が錘として魔術が発動されたことで、どちらかに心が傾くとあらかじめセットされた事象がもたらされる。
羽音ルートでは、羽音に心が傾いたことで羽音が無力化され、同時に憩の時(魔力の貯蓄期間)が遠のいて窮地に立たされることになったが、
今ルートでは仕掛け人のトロ先輩の思惑が外れ、憩の魔力が封じることができなかったためあっさり決着がつく。
憩が勢力において一人になってしまった理由は、天秤がまだ未完成であったころに誤作動に起こしシュラーゲン所属の人間を消し去ってしまったため。
(実際のところ、消し去ったのではなく、姿が認識できないみたいな感じで皆生存)

おまけ程度の情報ですがトロ先輩のエチシーンがあります。フヒッ
少しづつ舞台の全貌が明らかにされるとは言え、トロ先輩との戦闘から決着が数分で終わってしまうなど、あっさりしすぎてて殆ど燃えませんでした。




月側の途中から分岐。あやめが神やμと言ったモノに疑問を持ち、エクレシアに不審を抱き、学園というかエクレシアが抱えている闇に立ち向かう話。
監視されてることに感付いた主人公がエクレシアの偉い人に色々尋ねようとし、空と共に宿舎に忍び込む。忍び込んだ先で英雄ホルバインに遭遇するも、今回の件は不問となる。主人公とホルバインの対話を観ていた空の様子が明らかにおかしいことに気付き追及、追求した結果として血が繋がってないこと、自身の出自、エクレシアの目的をあやめに話す。
英雄であり、断罪者であるホルバインがその場に登場し空は彼と血が繋がっていることを告白し断罪者と背信者は決死の覚悟で殺し合う。
圧倒的な力量の前に空の敗北が決するが、あやめの勇気によって場は取りなされた。
少しして羽音がエレクシアに拉致されたことを知ったあやめと空が現場に向かうと事態はすでに収束しており、その中心にはホルバインが立っていた。
空の全てをあやめが受け入れ、空もまた双見空として歩き出すためにはホルバインとの決着は避けられず、己が全てを賭して断罪者に挑む。決して縮まらない力の差に屈せず戦い続け、ホルバインもまたそれに応え続けた……。

散々臭わされていた空の正体について明かされ熱い戦闘が繰り広げられます。
またエクレシアの内部・黒い部分に踏み込んでいくので少しづつ視界が広がるので気分よくプレイできた。しかしあれだ、副長が噛ませ犬すぐる。魔術外もあまり猛威を振るわなかったなぁ……。




グランドルート
月側、空ルートからの分岐。全ての話に決着が付く物語。散々スルーされていた、あやめの病の原因が判明、作為的に塾生が集められた学園、それを行った者の真意。ヒロシ登場。μとは何か、そのシステムに隠されたものとは。神の屑箱を食い破りし者etc...
今までルートで辿った内容の殆どが出てきます。まさに集大成と呼ぶにふさわしい出来でした。


キャラクター
一番気に入ったのはお嬢様かな、才能の一言で片づけるなとか思考の巡り方が気に入りました。
砲撃による最大火力保持者の憩先輩も燃え燃えですけども。

最初はクセがあるなぁ、と感じていたのですが、物語を読み進めて呑まれるようになると気にならないどころか「これだっ」的なものが沸いてきますね。
ただ、少しだけ気になったといえば空の脱帽した立ち絵がみょうに色白だったのががが……
着帽中の立ち絵と見比べても変わりはないんですが、色の配置って大事だなと認識ました。

演出
戦闘シーンに限らずエフェクト類を凝ってるのがいいです。
一般的に立ち絵と一枚絵は共立することはありませんが(背景は除く)、このゲームにおいてそれは当てはまらない。画面の半分を背景や一枚絵、もう半分を立ち絵のアップなどと組み合わせることで、何度も見ている素材で既視感を与えない作りになってます。
ウィンクで片目をつぶっているとか、頭にクエスチョンマークが現れるとか細かい所に凝っているので飽きがきません。私としてはこういった部分を非常に高く評価したい。こういうのって大事なんだろうけど、労力に見合わないからどこもやらないんだろうね……。
何より売上に直結しないことがデカイのかな。
燃える展開で欲しい場面に一枚絵が用意されてるのも当たり前ながら嬉しい。


楽曲
さぁ、剣を取れ!がすごく印象に残っています。きっすみとは違い、楽曲が一通り収録されているので実に嬉しい。


点数(5点区切り)
80点

これが私の中の点数。75点寄りの80(75~80の間に位置)と考えています(ユースティアは80~85で80点をつけた)。同じ80点でも差がありますが、その理由は『長さ』と『勢い』になります。確かに、確かに話は面白いしどんどん続きが読みたくなるんですが、少しばかり短いかなと。制作に年単位掛けているブランドと同量を求めるのは酷な話ではあるんですが。また、羽音ルートの燃えっぷりに対して終盤の盛り上がりに欠ける点、7人登場してもラスボスと同時に討ち合うことがなかったのが心残り。
他にあやめの身体の問題や言うなればラスボスを倒しましたがラスボスがラスボス足りえなかった点。盛り上がりに欠ける一因にあたると思われますが、ラスボスがあくまで師の立場で人を導くことを目的としており、絶対的な悪ではなかったことも大きい。
些事ではありますが、途中退場したサブキャラの行方がスルー。他のルートで行方をくらましたみたいな事を書かれていたのでそういうことだとは思うのですが。後はラスボスと同程度の実力者が後5位おり、それが必ず動くと示唆されたり……つまり、続編はよ。
後は先生の師匠さんは何者だったのでしょうか。現世の神もそうだけど、何かしらきっかけがあったはずなんだけど。まとめると、買って後悔しなかった。大満足。


天使の羽根を踏まないでっ』のオープニング